自分を経営する力を鍛える ~退官する恩師から学ぶ人材育成の本質~

今日は、大学時代の恩師が来年退官されるのを受け、当時の同期と共に退官イベントの企画を進めました。恩師は、「自分を経営する」というテーマで特異な授業をされていた方で、久しぶりに彼の著作を読み返し、改めてその深い教えを感じました。この学びは、現在の人材育成にも応用できる重要な視点です。

恩師は「経営」を「目的達成のために持てる資源を最大化すること」と定義しており、これは企業の経営だけでなく、一人ひとりの自己成長やキャリア形成にも当てはまります。個人が自分を経営し、目的に向けて持てる資源をどう最大化するかは、結果的に組織全体の成果にもつながるからです。

特に印象的だったのは、「夢と社会性」についての考え方です。恩師は「真の夢」とは、他者とつながり、社会的な意味を持って初めて実現するものだと語っていました。夢が自分の内側だけに閉じているうちは不安定であり、周囲と繋がることでやっと真の意味での達成感が得られる。言い換えれば、人材育成の文脈においても、個々のキャリア目標が社会的な価値と結びつくことで、本当のモチベーションが育つのではないかと感じます。

さらに興味深いのは、恩師が「タコ」と「タコツボ」を例にとり、人の役割と自己の本質を語っていたことです。タコツボとは社会的な肩書きや職位であり、これは人が組織の中で果たす役割の象徴でもあります。しかし、本当の夢や意義は「タコ」、つまり自分の心がビビッと反応するものにあるとしています。この「タコ」に当たる要素を探し、それを自分の役割に活かすことが、社員一人ひとりの自発的な成長とパフォーマンスの向上につながるのではないでしょうか。

人材育成や研修設計においても、ただのスキルや知識の伝達ではなく、「自分を経営する」という視点で自己理解を深める仕掛けを取り入れることが、個人と組織の双方に長期的な成果をもたらすと改めて感じた一日でした。