ミスをした部下には「ありがとう」

「川村さん、ミスをした部下に対して、私はね、心から『ありがとう』を言いたい。」

これは、先日訪問した日系製造業のセットメーカーの社長が、部下育成について語っていた言葉です。その言葉には、部下がミスをした際に、ただ叱責するのではなく、組織としての成長のための貴重な学びを得る機会と捉える大切さが込められていました。

ミスは「仕組みの改善」を促す貴重な機会

社長が強調されていたのは、「部下のミスは、上司の責任」として捉える考え方です。ミスをきっかけに、会社の仕組みや教育の改善点が見つかることを感謝すべきだとし、その視点こそが真の上司としての姿勢だと感じました。例えば、ミスを通して「この失敗のおかげで会社の改善点が見えた」と考えることができる上司こそ、一流だと実感しました。

「人ではなく仕組みを改善する」文化を根付かせるために

特にベトナムをはじめとするアジア諸国では、ミスが起きた際に「人の入れ替え」で対処する傾向が見られます。しかし、こうしたアプローチでは根本的な組織の成長が妨げられ、同様の問題が再発するリスクも高まります。私たちの研修プログラムを通じて、日本の考え方である「人ではなく仕組みを改善する」という視点を現地で根付かせることにより、組織全体の強化と個人の成長が両立する企業文化をサポートしていきたいと考えています。

まとめ

ミスが起きたときに個人の責任とするのではなく、組織全体の仕組みや教育の仕方に目を向けること。この考え方は、単に部下を指導するだけでなく、企業としての真の成長を可能にします。日本の企業が持つこの「仕組み改善」の考え方を、海外拠点や現地の従業員に伝えるために、私たちは研修を通じて支援してまいります。

この視点を取り入れた教育プログラムによって、現地に持続可能な成長の基盤を築き、日系企業の海外拠点全体がより強い組織へと進化することを目指しています。